めまいが起きた時のトラウマ

文のお題 (日替わり)
どのような恐怖をどのように克服しましたか ?

25年ほど前になります。4歳の娘と1歳の息子の子育てで日々忙しくしていた頃、久しぶりに子どもを預けてカットに行った時の事です。

シャンプー台の椅子に上向きで寝そべり、シャンプーをしてもらっていました。

「なんか、フワフワとする…何?」嫌なフワフワ感でした。シャンプーが終わり、いつものように美容師さんが頭の後ろに手を置いて起き上がるのを助けてくれました。

その時、「あれ、見えている景色が後からついてきた!」初めての経験でした。例えて言うなら、逆上がりをして着地をした時の感覚に似ていると思います。

カットをしてもらっていてもフワフワした感覚がなくなりません。事情を話し、早めに終わってもらいました。帰りの運転がドキドキで、「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせて帰りました。今から思えば、かなり危ないことをしていましたよね。

家に着くと安堵した思いからか、さらに悪化して横になるしかない。でも、寝返りを打つだけで目に見えているものが回って見える…気分もかなり悪くなり、乗り物酔いをしているかのようでした。

病院で診てもらうと“メニエール”とのこと。回転がしっかり治まるまでに数カ月かかりました。

この事があってから美容院に行くのが怖くて。でも、「このままではずっと行けなくなる」と思い、1年後あえて行く事にしました。

カット台に座っているときはまだいいのですが、シャンプー台に行くと恐怖心でいっぱいでフワフワしているように思えていました。「大丈夫、大丈夫。このところ、めまいはなかった」と自分に言い聞かせたり、「今日の夕飯は、肉じゃがとサラダと…」と別のことを考えたりしてシャンプーを乗り切りました。

再度行った時は「この前大丈夫だったから今日も大丈夫!」と心の中で唱えるようにしました。

とはいうものの、子育てもありましたし、カットに行くのは年に1、2回程度。平気になるまでに5年以上はかかりました。

今のところ、回転性のめまいは起きていませんが、忙しすぎたり寝不足が続くとフワフワとした感覚に襲われる時があります。でも、そうなりそうな時が分かるようにもなり、また、そんな感じがするだけの時もあるので、睡眠をしっかりとったり、「大丈夫」と唱えることが本当に大丈夫になる…という自己暗示で乗り切れるようになりました。

数年前、1歳だった息子は社会人になりました。一人暮らしを始め、初めて帰省をしてアパートに車で帰る途中「目が回って、運転ができない」と、自分に何が起きたのかが分からず、かなり焦った声で連絡が入りました。今度は息子が同じ経験をする事となったのです。

それからの息子は、出かけた際にめまいがして一緒に行った友達に病院へ連れて行ってもらい、私が迎えに行くという事が続きました。

息子のめまいがするのはいつも夕方で、明日から1週間が始まるという日曜日ばかりでした。初めて起きた時の時間帯、しかも夕焼けがきれいな日に決まってめまいが起こっている事に気付いた私は、息子に私も同じシチュエーションになるとめまいを誘発していた事やめまいが起きている気がしていた事、克服するためにどうしたかを話しました。

息子は、必要以上に恐れなくてもよいと感じたようで、今のところ大丈夫なようです。

めまい自体もそうですが、めまいが起きた時の場面に似ていると心がそわそわと落ち着かなくなり、そんな感覚との闘いでもあります。でも無理に治そうとせず、「大丈夫」「疲れているサインがきただけ」と客観的に自分を見て心の中で唱えることで、私も息子もトラウマと向き合えています。

暗示が聞かなくなり、めまいが治まらない時もいづれくるかもしません。でも、そんな心づもりがあれば、初めて体験したときのように焦ることはないだろうと想像しています。

投稿者: みい

子育てがひと段落したアラフィフです。発達につまづきがある小さな子ども達の成長をお手伝いするのが仕事。毎日子ども達に元気をもらってます。

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